いつ起こるか分からない災害。そんな時に備えて、食べ物の用意はできていますか?2018年の北海道胆振東部地震では、水、おにぎり、弁当類、食パン、粉ミルク、牛乳などを中心に、品薄や欠品が多い状態が1週間ほど続いたといいます。そんな中で食べるものがなくて困るのは、日々身体が成長し、栄養が必要な赤ちゃんや子どもたち。いざというときに備えて、子どもたちのための食料の備蓄は必ず必要です。今回はその方法や月齢、年齢ごとの備蓄職について解説します。

「備蓄」はなぜ必要?

これまでの災害時の傾向を見ると、電気・水道・ガスなどのライフラインが復旧するまでに1週間以上かかったり、災害支援物資が3日以上届かなかったり、物流が滞ってスーパーマーケットやコンビニなどの食料品不足が1週間ほど続く地域もあったそうです。つまり、被災生活は数日で終わるものではなく、長引く可能性があるのです。

さらに、乳幼児用の食料は支援物資として十分な量が届くとは限らず、手に入りづらい場合もあります。そのため、子どものための食料の備蓄は必ず必要です。

備蓄する量については、地域や市区町村ごとに、どれくらいの量を備えておくべきかの目安も公開されているので確認しましょう。多くの場合、最低でも「3日分×家族分」の食料品を備蓄するべきとされています。可能な場合はそれより多く、1週間程度の備えをしておくとよいでしょう。

おすすめの方法「ローリングストック法」

食品の備蓄をする際におすすめなのが「ローリングストック法」という手法です。普段の買い物の中で、常温保存ができる食材や加工食品を少し多めに購入し、消費した分を買い足すことで、常に一定の量を家に置いておくことができます。

画像: おすすめの方法「ローリングストック法」

また、こうして備えている食材は災害時だけでなく、停電や断水の時、体調不良や大雪、台風で外に出られないような時にも役に立ちます。

ローリングストックのポイント

・普段から食べている、食べ慣れたものを少し多めに買う

・消費期限/賞味期限が近いものから順に消費し、消費した分をすぐに補充する

・栄養バランスを考慮し、主食だけでなく主菜や副菜、甘いものなども揃える

・水やガスなどのライフラインを使わずに調理できるものを選ぶ

子どもの月齢・年齢別の備蓄

新生児~4ヶ月(授乳期)

授乳期の赤ちゃんのために、最低限備えておいてほしいものが「ミルク」と「紙コップ」です。被災時には、ストレスや緊張で母乳の出が悪くなることもあります。そのため、普段は母乳で育てているお母さんでも、非常用にミルクの備えをしておきましょう。

赤ちゃんのためのミルクには「粉ミルク」「キューブ型ミルク」「液体ミルク」の大きく3種類があります。中でもおすすめなのは液体ミルクです。液体ミルクには缶、紙パック、パウチなどの形状があり、温め不要でそのまま授乳することができます。そのため、きれいな水やお湯を用意したり、哺乳瓶を洗浄したりできない場合でも、子どもに飲ませることができるのです。また、栄養成分も調乳した粉ミルクと同じで安心して利用できるうえ、常温で保存することも可能です。

移し替えたり哺乳びんを洗って消毒する手間が省けて普段の外出時にも使えるので、日常使いしながらローリングストックをすることができます。

紙コップについては、災害時にライフラインが止まると哺乳瓶を消毒できない環境になることも想定されます。清潔な哺乳瓶が用意できない場合は、紙コップで授乳することが可能です。それに備えて紙コップを用意して置き、飲ませ方もチェックしておきましょう。

※参考:https://www.sukusuku.com/contents/225238

5ヶ月~(離乳食期)

離乳食をスタートしてからは、月齢や成長に合わせて食べるものを用意しましょう。今はいろいろなメーカーが子ども向けの保存食を作っており、瓶詰で2年もつものや、甘いものもあります。子どもの好みにも合わせて、バランスよく揃えるのが良いでしょう。

■離乳食をはじめたばかりのころ

離乳食の初期は柔らかくて飲み込みやすいものを選びましょう。例えば、裏ごし野菜がフリーズドライになっているものや、お湯で溶くだけのフレーク状のおかゆや野菜、粉末タイプの野菜スープ、瓶詰のおかゆなどがあります。

■7ヶ月ごろ~

食への興味が広がり、食べられるものの種類も少しずつ増えてくるころです。雑炊や赤ちゃん用の煮物、うどんといったごはん系に加え、栄養を補うためのフルーツジュレ、ソフトおせんべいやぼうろなどのおやつも揃えておきましょう。

■12ヶ月ごろ~

形があるものをきちんと噛んで食べるようになり、食後に母乳やミルクをあまりほしがらなくなってくるころです。このころから食べられるものでおすすめなのが、ごはんとレトルトパウチのおかずがセットになったもの。栄養バランスが考えられ、複数の食料品がセットになっているうえ、箱がトレーやパペットになるものもあります。

1歳~(離乳食卒業後)

離乳食を卒業すると、大人と同じ非常食を食べることができるようになります。そのため、大人用の備蓄食品を多めに用意しておくことで対応が可能です。

ただし、子どもは味覚がまだ十分に発達していないため、苦味や酸味、辛みが強い食品は避けるようにしましょう。子どもが好きな味のものを選び、災害時のストレス下でもできるだけ食べやすいようなハンバーグやカレーがおすすめです。また、 お菓子やスナックはストレス軽減にもつながるので、あわせて備蓄しておくと良いでしょう。

アレルギーをお持ちのお子様

過去の大規模な災害時、1ヶ月以上アレルギー対応食品を入手できなかった方がいたり、炊き出しや支援物資でアレルゲン表示がなかったりした場合があったそうです。そのため、お子様がアレルギーをお持ちの場合は、対応食を多めに備えておくと安心でしょう。さまざまなメーカーが「特定原材料7品目不使用」のベビーフードを販売しているので、チェックしてみてください。

災害時の家族の健康のためのメニュープラン

災害時は使える食材や調理方法が限られますが、その中でもできるだけバランスの良い食事をしたいですよね。そこで、どのような食材を選ぶと良いか、どのように活用できるかをいくつかご紹介します。

バランスを意識した食材選び

いつもの食事と同じように、主菜、主食、副菜を意識すると良いでしょう。また、不足しがちなビタミンなどの栄養を補うために果物も用意しておくのもおすすめです。

■主食

・アルファ米のごはん

アルファ米は炊いたごはんをそのまま急速乾燥したもので、水やお湯を加えるだけで食べることができます。白米だけでなく、炊き込みごはんや、チキンライス、ピラフ、おにぎりタイプのものもあります。

・長期保存用のパン

長期保存用と聞くと、乾パンなど少し固めのものを想像する方もいるでしょう。しかし、最近は袋詰めされたやわらかいパンも登場しています。5年以上など、保存期間が長いものもあります。

・麺類

水を入れるだけで食べられるタイプのものもあり、種類も豊富です。例えば、トマトパスタやカルボナーラ、山菜うどん、カレーうどんなど、質素になりがちな備蓄食品の中でも少し嬉しくなるようなものがあります。また、短めのパスタを使用しているものもあり、子どもの食べやすさという観点でも備えておくと良いでしょう。また、食べなれたカップラーメンなどもおすすめです。

■主菜

・肉

肉類はたんぱく質を補うのに大切です。中でも、子どもが好きでさまざまな種類があるハンバーグは特におすすめです。牛や豚だけでなく、鶏肉でできたものや、煮込みハンバーグ、デミグラスソースのハンバーグ、肉の専門店が監修したハンバーグなど、種類もさまざまあります。ほかにも、親子丼や炒め物などにアレンジがしやすいやきとりもおすすめです。

・魚

肉と同様、魚も重要なたんぱく源です。それに加え、ビタミンや良質な脂質を摂取することができ、アレンジもしやすい食材なので、積極的に備えておきたい食材です。例えば、鯖の水煮やみそ煮、さんまの蒲焼、ツナ缶などがあります。特に、鯖の缶詰は煮物や炒め物、炊き込みごはんなどのアレンジレシピがたくさんあり、想像以上に美味しく食べられるのでおすすめです。

・カレー/シチュー

子どもが好きなカレーやシチューは、日頃から美味しく食べることができて安心して備えて置ける食品です。また、カレーは定番のものから、キーマカレーやバターチキンカレーなど、種類がとても豊富です。大人も楽しみながら食べることができるので、いろいろ揃えておくと良いでしょう。また、調理済みで常温でも食べられるものや、子どものために甘口のものを選ぶようにしましょう。

■副菜

・煮物

煮物は主食や主菜だけでは補えない、食物繊維やビタミン類を摂取するのに最適です。また、肉じゃがおでんきんぴらなど、普段の食事や給食で子どもが食べなれているものも多くあります。

・味噌汁/スープ

お湯を注ぐだけで飲める味噌汁や、温めずに食べられるスープなどがあります。また、豚汁や野菜たっぷりのミネストローネなど栄養が豊富なものもあれば、中華、洋風など種類も豊富です。被災時には温かいものが喜ばれる傾向にもあり、お湯が使える状況下であれば心も温めてくれる存在になるでしょう。

■果物

・フルーツ缶詰

フルーツは子供にも喜ばれ、普段スーパーマーケットでも見かけるように、さまざまなフルーツ缶詰があります。フルーツはビタミンが豊富なうえに、みずみずしさや甘さもあるので、避難生活を少し彩ってくれる存在にもなります。食欲がない中でもフルーツなら食べられる、という人もいるかもしれないので、是非備えておきましょう。

・ドライフルーツ

ドライフルーツは乾燥させることで栄養が凝縮されているうえ、食物繊維が豊富で砂糖が不使用のものもあるので、健康を考えるうえではもってこいな食品です。また、食べ応えもあるので間食にも向いています。

■その他

・お菓子、嗜好品

今は長期保存のできるビスケットケーキなどがあります。子どもも大人も喜ばれる食品で、元気がない中でもメンタルを少しもち上げてくれるかもしれません。また、保存期間の長いスナックお菓子も準備しておくと良いでしょう。

・ホットケーキミックス

ケーキや蒸しパンなどを簡単に作ることができ、卵や牛乳がなくても十分な甘さと食べ応えのあるおやつが作れます。また、ドライフルーツなどと組み合わせることもできてアレンジの幅が広いうえ、フライパン以外にも電子レンジで調理が可能です。

※こちらもチェック:https://www.morinaga.co.jp/hotcake/bousai/

・調味料系

備蓄食は味が薄かったり、自分好みではなかったり、少し物足りなかったりする場合もあります。そんな時に備えて、ごはんに合わせられるふりかけのり、パンやクラッカーに合わせるジャムクリームがあると良いでしょう。また、日頃から常温保存で使える醤油やごま油、酢なども味や風味の調整に使うことができます。

さらにおいしく食べるアレンジメニュー

■アルファ米とやきとり缶の和風オムライス

アルファ米とやきとり缶を混ぜ、上にスクランブルエッグをのせて完成。ケチャップやソースをかけなくても味付けが十分で、スクランブルエッグは電子レンジでも作ることができます。

■サバの水煮のマヨごま油和え

サバの水煮にマヨネーズとごま油、お好みで醤油をかけるだけ。栄養がありながら簡単で、マヨネーズで臭みも消えて食べやすいメニューです。

■それ以外にも知りたい方は

Cookpad「昭和女子大非常食のキッチン」に91のレシピが掲載されています。ポリ袋で作る蒸しパンややきとり缶で作るオムレツなど、非常食メニューがさまざまあるので是非見てみてください。

まとめ

今回は、子どもや家族のための食品備蓄について紹介しました。家族全員分、かつ栄養を意識して食品を備えておきたいと考えると思いますが、なかなか大変です。そんな時に、この記事を参考に食品を選んだり、バランスを考えたりして、ローリングストックで効率よく備えていただければと思います。

[参考]

日本気象協会「ローリングストックについて(知る防災)」

公益社団法人富山県栄養士会「災害時の備えと避難生活のポイント ~妊娠・授乳中のお母さん 乳幼児と一緒に暮らす方へ~」(https://toyamaken-eiyoushi.jp/files/libs/772/20230308220647267.pdf

いつもしも「子どもの非常食はどうする?赤ちゃんから幼児まで月齢別非常食の備え」
https://itumosimo.jp/babykidsfoods/

image upload failed

キューピー ベビーフード・幼児食
https://www.kewpie.co.jp/babyfood/

農林水産省「災害時に備えて食品の家庭備蓄を始めよう」
https://www.maff.go.jp/kinki/syouhi/mn/iken/attach/pdf/01nendo-1.pdf

This article is a sponsored article by
''.