新年度が始まって早くも1ヶ月。ゴールデンウイークも過ぎ、「次の連休は少し先か…」なんて思った方も多いのではないでしょうか。そんな5月は季節の変わり目でもあり、心身に不調を感じやすいタイミング。疲れや不安感を感じたとき、どのように対処していますか?そのまま気付かないふりをしてはいませんか?今回は、多くの方々の相談に乗ってきたカウンセラーに、メンタルを保つポイントや具体的な方法について伺いました。
まあこさん
野口嘉則先生認定カウンセラー
元々は整骨院のせんせい。10年以上身体のケアに携わる中で、身体のケアだけでなく心のケアも大切だと痛感。 「私は私でだいじょうぶ」と思えるレジリエンスを育むカウンセラー。
カウンセリングセッションについて:https://note.com/maako2019/n/nb03e11cf7ff0
緊張がゆるむ5月。メンタルを崩しやすいのはどんなタイプ?
「五月病」という言葉があるように、心理業界やカウンセリング業界においても5月はメンタルに不調を感じる方が増える時期だと言われています。例えば、新しい職場で新しい人間関係を築かなければいけなかったり、新しい環境に早くなじめるようにという緊張感があったり、新しいプロジェクトが始まってプレッシャーがかかっていたり…。そうした新しい環境の中で一生懸命に頑張ってきた方が、ゴールデンウィークで緊張の糸がゆるみ、反動が出やすいのです。
特に、下記のような方はメンタルを崩しやすい傾向にあります。
・期待を背負いやすい方
・頑張りすぎる方
・真面目で責任感が強い方
・周りに同調しやすい方
メンタルの不調を放置するとどうなる?
メンタルの不調を感じてそのままにしておくと、心や身体にサインが現れてきます。最初は「なんとなくやる気が出ない」「寝ても疲れが取れていない気がする」「不安感が強い気がする」のように、「なんとなく」から始まることが多いです。また、イライラしやすい、食欲が出ないといった不調を感じる方もいます。
しかし、そういう予兆があっても仕事は毎日続くもの。何も対処せず、その気持ちを見ないふりをして無理をしてしまう方もいらっしゃいます。すると、今度ははっきりとした症状が現れるようになります。朝布団から出られない、夜眠れなくなる、朝起きると頭痛がする、体調を崩す。また、うつ症状が出る方もおり、病院を受診される方も出てきます。
ここまで来てしまうと、長期で会社を休まなければならなくなってしまうことにもなりかねません。ですから、最初に出てくる「なんとなく」をごまかさず、無理をしすぎないことがとても大切です。
メンタルを維持するために大切な3つのポイント
メンタルを維持するために大切なのが「我慢しすぎないこと」「頑張りすぎないこと」「自分を責めないこと」です。
この時期にメンタルダウンされる方はずっと頑張り続けていた方が多く、カウンセリングを受けに来ても「自分が弱いせいだ」「我慢が足りなかった」「これくらいのことで弱音を吐いてはいけない」と、自分を責める方が非常に多いです。
でも、なんとなくでも不調が出てきたのは、自分からの「ちょっと休んでほしい」というSOSなんです。ですから、いっぱいいっぱいの時は、自分を守ることを何よりも優先してほしいと思います。毎日ただ生きることや、これ以上悪くならないためにできること、力を抜くことなど、自分を守るための行動を優先して行っていただきたいです。
また、そのためには、自分の心の声を自分で聞き、今の気持ちや身体の不調のサインに気づいてあげることが必要です。できれば1日に1回、1分でもいいので自分のことを冷静に見る時間を取ってほしいと思います。その日のうちに自分の状態を把握することで早い段階で対処できるので、実際に何か症状が現れるのを防ぐことができます。
そして、そこで聞いた声は後回しにするのではなく、拾ってあげること。もし疲れが溜まっているのなら、お休みの日はしっかり休んだり、気分転換に何か自分の好きなことをしたり、不安感があるなら誰かに話してみたり。
頑張っている方は周りに弱音を吐けない方も多いので、そういう方は人にどんどん頼ってほしいと思います。職場で信頼できる人に相談をしたり、そういう人がいなければ友人やカウンセラーなどに話してみるのもよいでしょう。弱音を吐いて、愚痴や辛い気持ちを誰かに聞いてもらうだけでもかなり楽になると思います。
自分の心の声を自分で聞く方法とは?
自分で自分の声を聞くために私自身も実践しているのが「マインドフルネス瞑想」です。座って目をつぶり、ただ自分の状態を自分で感じます。頭が重い、肩がちょっと凝ってるな、だるさが取れていないな、といった身体の状態を感じたり。今は落ち着いているな、ちょっと緊張してるな、プレッシャーを感じて気が重いな、など心の状態を感じたりできます。最初は1分からでもいいので、是非実践してみてください。
引用:https://www.nishikawa1566.com/column/sleep/20250226224753
職場で辛くなってしまった時はどうしたらいい?
自分の不調に気づけていても、疲れやストレスが溜まっているために、職場などで辛くなってしまうこともあるかもしれません。そんな時にためしていただきたいのが、ストレスコーピングという方法です。これは、ストレスを感じた時に、それに対処するための行動のことです。
例えば、イライラした時や緊張した時にトイレなど一人になれる場所で深呼吸を10回する、コーヒーや紅茶を飲む、好きなお菓子を食べる、何かのアイテムを持っておくなど、自身の心が落ち着く手段を持っておくのです。
こうしたストレスコーピングの手段は多い方がいいと言われています。一つだけではなく何種類か持っておくと、その場その場でいろいろな対応ができるからです。心理学の講座などでは「最低30個書き出してみましょう」と言われることもあります。「そんなにないよ!」と思った方もいるかもしれませんが、普段無意識にしているだけで、意外と持っているんです。考えてみて、思いついたものを書き出して「コーピングリスト」として持っておくと安心です。
歯医者さんのように、カウンセラーも頼ってほしい
カウンセリングを受けるのはハードルが高いと感じる方もいらっしゃるでしょう。実際、悪くなってから行こう、どうしようもなくなったら行こう、と思っている方が多いです。
でも、カウンセラーは歯医者さんのような感覚で頼ってほしいと思います。歯医者さんは、虫歯にならないためにメンテナンスに通いますよね。悪くなってから行くと、治療に時間がかかり、完全には治らない場合もあります。
メンタルにおいても同じです。「なんとなく変だな」という状態がいつもより少し長く続いている、しんどい気持ちが残っている、といった時に気軽に声をかけていただけたらと思います。それより重くなる前の段階で、ケアのサポートをさせていただければと思います。