社会に出て今の会社で数年。そろそろ次のキャリアアップを考えたい、今の会社は合わないため転職を考えている。
色々調べ始めると、職務経歴書が必要、収入の幅が広い、正社員以外の求人もあるなど、学生時代の就活と異なる部分があり戸惑うことも。
今回の記事では、はじめて転職をする方に向けて履歴書・職務経歴書の書き方を中心に大切な事を紹介していきます。
①何が違うの?転職活動と学生時代の就職活動。
学生時代の就職活動でも自己分析や書類作成、面接という経路をたどってきた為、同じ形での活動を考えている方もいると思いますが、転職活動では大きく違う点あります。
(1)エントリーシート(ES)ではなく職務経歴書が必要
学生時代の就職活動ではエントリーシート(ES)の提出が求められました。転職では「履歴書」と「職務経歴書」が必要です。転職を考えた際には、まずこの2点を準備する必要があります。
(2)社会に出てからの実務経験のPRが必要
学生時代の就職活動では自己PRやガクチカなどで、学業、サークルや部活動、アルバイトでの経験から自分をPRしてきました。転職活動では現職での実務経験をPRする必要があります。
もし異業種・異職種を希望する場合や「未経験可」「ポテンシャル採用可」という求人に応募する場合でも、実務経験の中から何ができるのか?どんな経験を積んできたのか?それが次の仕事でどう活かせるか?をPRしましょう。
(3)収入は交渉可能
求人票を見ると「月給20万円~25万円」「年収300万円~500万円」など幅が広いことに驚くと思います。全員が低い所からスタートという事ではなく、前職での経験や活かせる経験によって交渉可能となります。ベースとして現職(前職)を年収の査定ベースに検討する企業もあります。
(4)雇用形態は正社員とはかぎらない
新卒での入社はほとんどの方が正社員として入社していますが、中途採用の求人情報を見ると、契約社員や派遣社員など正社員以外の応募も多くあります。雇用形態をしっかり確認しましょう。
②転職でも重要な自己分析
(1)転職成功までの流れと手順
まずはこちらの図をご確認ください。
自己分析→履歴書職務経歴書作成→求人検索・人材転職エージェントへ登録→志望動機・自己PR作成→適性試験(会社による)→面接(1~3回)→入社
という流れになります。
さらによく見ると、自己分析の先に転職先の会社が矢印でつながっています。
自己分析をして自分がどんな会社を目指すのか?転職後理想の状態を確認します。
ゴールに合わせて書類を作成したり、業界に強いエージェントに登録をしたりしていきます。
(2)自己分析とは何をするのか
転職における自己分析は大きくわけて3つを確認していきます。
自分のこと
条件
価値観・やりがい
・自分のこと
そもそもなぜ転職をしたいのか?今回の転職で解決したい事は?自己PRで使える強みは?やりたい事、できるや得意な事、今後やっていきたい事などです。
・現状と希望条件
例えば年収や月給、勤務地、通勤時間、残業時間、福利厚生などです。まずは現職(前職)の数字を正しく把握しましょう。
源泉徴収票や給与明細、会社カレンダーなどを確認して、正しい数字を把握してください。年収や月給は手取りではなく「額面」で書く事が重要です。
現状を把握した上で、転職先の希望条件を具体的にしていきましょう。
・価値観・やりがい
価値観・やりがい条件以外の仕事に求める事です。例えば成長を感じたい、人の役に立ちたい、評価されたい、ものづくりがしたいなどです。
③履歴書は手書き?職務経歴書って何枚が正解?
よくいただく2つの質問を元に書類について確認していましょう。
履歴書は手書きとパソコンどちらがいいでしょうか?
職務経歴書ってA4何枚が正解?
実はこれはどちらも正解はありません。正解はないからこそ難しく、戸惑ってしまうかと思います。まずはひとつひとつ確認していきましょう。
(1) 履歴書は手書きとパソコンどちらがいいでしょうか?
応募方法と企業によります。今はWeb上から添付で応募する場合や、企業のサイトや求人サイト上の専用フォーマットから応募する事もあります。一方で手書きでの提出を指定してくる企業も稀にあります。
まずはパソコンで作りましょう。Web応募の際にも転用できます。
郵送や持参があり、手書きを考えている場合や手書きの指定がある場合はパソコンで作成したものを見ながら書くと早くなり、間違いが減ります。字が綺麗な方は手書きで書くと良いPRになるでしょう。Web
やITなどパソコンでの応募が一般的な業界と、手書きが一般的な業界など、業界によっては差があります。
数を重視する場合には、手書きよりもパソコンでの作成の方が当然早くなります。仕事など忙しい生活の中、1つでも多くの企業に応募したい場合には、パソコンを活用しましょう。
(2)職務経歴書ってA4何枚が正解?
職務経歴書はフリーフォーマットで自由なので、枚数に決まりはありません。
実際はその方の年齢と職歴の数によります。
アドバイザーやキャリアコンサルタントによっても意見がわかれる場合があります。
私はあまり枚数が多いと読まれない為、3枚から多くて4枚、はじめて転職する方で1社のみの経験の場合には2枚程度とアドバイスしています。
今まで最長7枚という職務経歴書を見た事があります。
もしあなたが採用担当だったら沢山の書類が届く中で、7枚もの経歴書をじっくり読むでしょうか?
長い職務経歴書が届くと「読む人の事を考えないタイプの方、まとめるのが下手な方」という評価を受けている場面を何度も見ました。
とはいえ、1枚に無理やりまとめると職歴が多い人はほぼ履歴書と変わらなくなってしまいます。
内容・枚数含めて読み手の事を考え「その人の良さが志望企業に伝われる書類」を目指しましょう。
④履歴書を準備しよう
履歴書はJIS規格のものが望ましいですが、細かい指定がない限り、自分が使いやすいフォーマットを使用しましょう。インターネット上を探せば大手求人サイトなどで無料のテンプレートが用意されています。上記にも記したように、まずはパソコンで作成しておき、手書きの場合はそれを見ながら書けば書きやすくなります。
作成する際には、以下の点に気をつけましょう。
(1)出身校名、資格名は正式名称で略さず書きましょう
(2)学歴と職歴はそれぞれまとめて書く
(3)職歴に担当業務などを沢山並べない(職務経歴書に書きましょう)
⑤こうすれば書きやすい!職務経歴書の書き方
(1)職務経歴書は正解がないから難しい
職務経歴書は正解がないからこそ難しいのです。履歴書のようにJIS規格があるわけでもありません。元はフリーフォーマットです。
例えばデザイン関係の仕事の方はポートフォリオをつけたり、経歴書自体にも作品を載せたり華やかにデザインする方もいます。自由であるからこそ、どう作っていいかわからないと思います。
まずは一般的な形を見てみましょう。大手求人サイトには雛型や見本が載っています。
これもまた業種別職種別様々です。良い見本があったとしてもあなたの経歴とピッタリあうものはないかと思いますが、まずは一般的な書き方を知っておきましょう。
これが正解ではありませんが、他の応募者は大体このような形の経歴書を送り、面接官はだいたいこのような形のものを沢山目にしている事を理解すると良いでしょう。
その上であなたの魅力を伝えられる書類を作成しています。
(2)作成する順番
使用するフォーマットや経験によって項目や並び順は若干異なると思いますが、こちらの図を参考にしてください。お薦めの順番はこちらです。(①~⑤が作成する順番となります)
1:職務経歴
2:PCスキル・資格など
3:3つの強み
4:自己PR
5:職務要約
まずは自身の経歴やスキルなど、まとめるだけで書けるものを先に書き出します。過去を振り返りながらまとめることで自己分析が深まります。
その上で強みや自己PRを考え、最後に職務要約を書きます。
多くの人は上から順番にまず職務要約から書こうとするので手が止まってしまいます。
経歴などをまとめてから最後に書くと書きやすくなります。
職務要約は一番目を引く部分となりますので、書き方が重要となります。
(3)職務経歴のまとめ方
・箇条書きで古い年から順番に書き出す
入社から現在までに担当してきた業務を箇条書きで書き出しましょう。枚数は気にせず、Wordなどにベタ打ちでも結構です。部署異動や担当が変わっている場合には、部署ごとに担当した仕事を並べていきましょう。2社以上経験がある方は、それぞれの会社について書き出してみましょう。
順番は最近の会社からでも古い会社からでも、伝わりやすい順番で結構です。
・数字で示せるものは数字で示す
売上や顧客数は勿論、担当数やこなしていた数(月間〇個担当等)、部署の人数、マネジメントや指導した人数など営業職ではなくても数字で示せるものは示しましょう。予算やノルマなど達成目標がある業務の場合には予算と達成率なども具体的に書くと良いでしょう。
・何をどこからどこまで担当していたのか
「経理業務」など業務内容は一言で終わらせず、何をどこからどこまで担当していたのか、担当範囲を詳細に書くようにしましょう。
(4)自己PRと3つの強み
・3つの強み
あなたは転職先の会社や業種職種で活かせそうな強みを3つ挙げられますか?
「営業」や「経理」の経験など具体的な仕事内容や、「英語」「プログラミング」などのスキル、「コミュニケーション力」「調整力」などでも結構です。3つの強みを考えてみましょう。ここを考える為には、自己分析をした上で強みは勿論、自分がどんな会社に転職してどんな仕事をしたいのかという目標やゴールが見えていないと書けない事がわかるかと思います。
・自己PR
経歴だけでは伝えきれないPR(学生時代や留学の経験、資格取得に向けて勉強している事やボランティア活動など)や今後のキャリアプランを書き、転職先でどう活躍できるか、していきたいかを具体的に書きましょう。
応募企業と自分の経験や今後のキャリアプランがマッチしている事をPRする場となります。
まとめ
履歴書と職務経歴書はお見合い写真と言われます。写真がよくないと会って(面接して)もらえません。同時に「面接の台本」でもあります。
面接では書類を元に質問をして深堀していきます。PRすべき事が書いているかどうかで面接の展開も変わってきます。履歴書職務経歴書がいかに大切か、書類作成前の自己分析がいかに大切かおわかりいただけたのではないでしょうか。書類の種類だけではなく、PRすべき点、心構えも含め、学生時代の就職活動とは異なる事を理解し、準備していきましょう。
この記事を書いてくれた人
丸井 沙紀
ホームページ・ブログ https://marunoko.net/
保有資格:「2級キャリアコンサルティング技能士」「キャリアコンサルタント(国家資格)」「GCS認定プロフェッショナルコーチ」等。
4,000人以上の相談実績を元に、おとなが相談できる場所として転職活動のサポートをする転職の家庭教師。転職エージェントのアドバイザーを経て現在は転職・学生向け就活の大型イベント内で講演や、職業訓練校・短期大学にてキャリアの授業も担当。