みなさんは、条件付き書式の機能を使ったことはありますか?条件付き書式は、特定の条件の数値に自動で色をつけたり、棒グラフや色の濃淡で数値の大小を表現したりできるとても便利な機能です。この活用方法を知っているだけで、データの表現の幅がぐんと広がります。今回は、その概要から使い方まで解説します。
条件付き書式とは?
条件付き書式は、Microsoft Excel(以下、Excel)の便利な機能のひとつです。この機能を使うと、特定の条件に応じてセル(表のひとつひとつのマス)に色をつけたり、文字の色を変えたりすることができます。
例えば、「目標売上金額を達成した商品のセルを赤にする」や「タスクが完了したら黒く塗りつぶす」など決めたルールに従ってExcelが自動で書式を変えてくれるのです。
また、関数や数式を使わずにクリックだけで設定することも可能なので、初心者でも簡単に取り入れることが出来ます。
沢山あるデータからひと目で知りたい情報を知ることができ、自分自身の使いやすさはもちろん、人に見せる際にも是非活用したい機能です。
条件付き書式のメリット
条件付き書式を使うメリットは、見やすさ以外にもあります。活用のヒントにもなるので、ここでいくつかご紹介します。
・ミスを減らせる
エラーや異常値があった場合に色をつける設定をしておくと、間違いを早く発見して修正することができます。
・手作業の削減
条件を一度設定すれば、Excelが自動で書式を変更してくれるので、手作業の時間が大幅に減ります。
・分析のサポート
数値の大小関係がわかるよう、データを見やすくしたり、自動的に色を変更したりすることで、データの分析にかかる時間を削減することができます。
基本の操作と機能
ここからは、基本的な操作と機能をご紹介します。
まず、条件付き書式のメニューを確認しましょう。「ホーム」タブを選択すると、「条件付き書式」のメニューがあります。
このメニューをクリックすると、条件付き書式のさらに細かいメニューが表示されます。
・セルの強調表示ルール
書式を変える条件を設定する、基本的なメニューです。値の大小や日付、重複など、よく使うものは既に用意されており、それ以外にも「その他のルール」から独自の条件を設定することができます。
・上位/下位ルール
「上位10%」や「下位10%」、平均より上か下かなど、相対的な評価による条件を設定することができます。何パーセントにするかの数字も自由に設定することが可能です。
・データバー
セルの中に棒グラフを表示し、視覚的に見やすい表を作成することができます。
・カラースケール
数値に応じてセルの色を塗り分け、視覚的に数値の大小を分かりやすくします。
・アイコンセット
数値の横に矢印や星などのアイコンをつけ、数字の推移や注目すべき値などを強調することができます。
活用事例
ここからは、具体的な活用事例を2つと、その設定方法をご紹介します。
事例1:目標売上金額を達成していない部署のセルに色を付ける
売上の目標と実績をまとめた次の表があるとします。このうち、目標を達成していない部署がどれか、分かりやすく色をつける設定をします。
まず、色を付けたい範囲を選択します。今回は部署名のセルに色を付けるため、部署名の範囲を選択します。この範囲を広げることで、色のつく範囲も変えることができます。
次に、「条件付き書式」のメニューを開き、「新しいルール」を選択します。
表示された「新しい書式ルール」の中から、「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選択します。
「次の数式を満たす場合に値を書式設定」の入力欄に、「実績が目標より小さい場合」を意味する数式を入力します。
まず、これを記号を使って表すと、「実績 < 目標」となります。さらにここから、実績と目標をセルの記号で表しましょう。
表から「実績」の一番上のセル(C3)をクリックします。続いて「<」を入力し、最後に「目標」の一番上のセル(B3)をクリックします。
この時、記号に自動的にドルマーク($)が入った状態になります。これは「絶対参照」と呼ばれ、範囲を固定する際に用いられます。このままだと、書式設定の条件がC3とB3のセルで固定されてしまうので、アルファベットと数字の間にあるドルマークを削除します。
次に、右下の「書式」ボタンをクリックします。「セルの書式設定」のポップアップが表示され、この画面で書式を自由に設定することができます。今回は、条件に当てはまる場合にセルを黄色に塗りつぶすように設定しましょう。「塗りつぶし」のタブを選択し、色を選択し、「OK」をクリックします。
もう一度「OK」をクリックすると設定が反映されます。
事例2:期限が過ぎたタスクを赤にする
このように、タスクと期限が記入された表があるとします。期限切れのタスクの行を赤色に塗りつぶす条件付き書式を設定してみましょう。
まず、条件付き書式を設定する範囲を選択します。今回は「セル」ではなく「行」に色を付けたいので、表全体を選択します。
次に、事例1と同じ手順で「条件付き書式」のメニューから「新しい書式ルール」、「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選択し、条件となる数式を入力しましょう。
まず、「期限切れのタスク」を数式で表すためにもう少し具体化すると、「今日より前の日付のタスク」となります。つまり、「今日 > 期限」の場合に期限が切れていることになります。
これをもとに、「今日」を取得する「TODAY()」関数を使って、「今日 > 期限日の1番上のセル」の数式を入力します。事例1と同様、間のドルマークも消しましょう。
右下の「OK」をクリックすると、反映されます。
また、より簡単な方法としてクリックだけで日付のセルにだけ色を付ける方法もご紹介します。
まず、「条件付き書式」のメニューから「セルの強調表示ルール」、「指定の値より小さい」を選択します。
指定の値に「TODAY()」を入力し「OK」をクリックするだけで、簡単に反映されます。
まとめ
Excelの条件付き書式は、データをわかりやすく、そして見やすくするための強力なツールです。複雑な操作を覚える必要はありません。少し設定するだけで、データが圧倒的に見やすくなるだけでなく、日々の作業が効率的になります。ぜひ活用してみてください!