1894年に、ドイツのヒルデブラント&ヴォルフミュラー(H&W)社が初めてオートバイの製造・市販をスタートさせました。日本には1896年に輸入されましたが、第二次大戦後ホンダやスズキ、スバル、カワサキなどさまざまな国内メーカーが市民の移動手段としてスクーターを開発・製造するまで、「バイクは趣味で乗るもの」と捉えられてきました。現在でも「バイクに乗る=趣味」として広く認知されており、日本産のオートバイのさまざまな改良や海外製のオートバイの流通、SNSの発達などにより、バイク愛好家は年々増えつつあります。さらに近年では「#バイク好き女子」など、SNSでハッシュタグをつけて発信するバイク乗りの女性も現れました。
今回は、YouTubeやInstagram、TikTokなどでバイクについて情報発信をしているゆみしさんに、バイク旅の魅力や今後の夢を熱く語っていただきました。
ゆみしちゃんねる(YouTube)
https://www.youtube.com/@yumishi526
Instagram
https://www.instagram.com/ymc526/
TikTok
https://www.tiktok.com/@ymc526
バイクへのイメージを変えた、「#バイク女子」
大学時代、マネージャーをしていた男子ラクロス部に何人かいたバイク乗りの影響で興味を持ちました。バイクって何となく面白そうだなと感じてた一方で、危ないんじゃないかとか、男の人、おじさんの乗り物っていうイメージが結構強かったんです。でもある日、「#バイク女子」っていうハッシュタグをSNSで見つけていろいろ見ていたら、バイク女子って結構日本にたくさんいて、バイクとのツーショットや、ツーリングしてるときのカッコいい写真がたくさん上がってて。私にもできるかもしれないと勢いで教習所に通い、コロナ禍で休校とかいろいろ挟んで、1年かけて免許を取りました。
今乗ってるのはRebel250(レブル)っていうホンダのバイクです。すぐバイク欲しかったんで、卒検合格した日にバイク屋さん、正規ディーラー店に行って契約しました。
YouTuberで稀に暇なOL_なっちゃんっていう人が乗ってるヤマハのキックスタートしかないSR400とRebel、あとZ250っていうKAWASAKIのバイクが第1候補でした。父と一緒にバイク屋に見に行って試乗した時に足が地面にちゃんと付くのが初心者だったら一番運転しやすいよなと思って。キックスタートっていうところでエンストしたら怖いなと思ってRebelにしました。今ではRebelで間違いなかったと思っています。
一時期は反対してた親も、私がやりたいって言ったことは止めてもムダだと分かってるからか、最近では半ば諦めて「気をつけてね」って言ってくれてます。
今も強く印象に残る「納車の日」と四国への一人バイク旅
納車の日はよく覚えてますね。まず納車までに3ヶ月かかったんですが、その間にモトブログを始めることを決めて。そのためにはどんな機材が必要で、どんな動画がバズるか徹底的に調べた結果、何かハプニングが起きる可能性がある納車の日の様子を撮らなきゃいけないと。実は正直ライディングにあんまり自信がなくて、公道を無事に走れるのかなって本当に不安でした……。
当日、友達とか男子ラクロス部の、バイク乗りの後輩が来てくれたんで安心だったんですけど、めちゃくちゃ緊張しました。納車先の横浜の店舗から横浜駅まで、後輩と30分くらいかな、本当に短いツーリングで、緊張と自分のバイクで公道を初めて走る喜び、バイクに乗ることの楽しさが一気にやって来ました。動画の中でも言ったんですけどそれ以来、バイクの楽しさをもっといろいろな人に知ってほしいなあと思うようになりましたね。
それ以外だと、四国の旅が一番大変でしたし、一番印象に残ってます。バイク乗りには北海道一周とか日本一周とかしてる人が結構多くて。実は父もバイク好きで「四国一周いつかしたいんだよね」って話をしてて。去年のゴールデンウィークに行ったんですけど、九州一周したことある友達にコースとかを相談してから行きました。旅の途中、夜遅くなりすぎちゃって、ひたすら山道を走らなきゃいけないときが1回あって。街灯が少ないので本当に真っ暗、「動物注意」っていう標識も見えてて道を歩く人も走ってる自動車もない中、泣きながら走ったこともあります。
バイク旅って7〜8割移動なので、移動中の部分を端折って、ご飯のところやきれいな景色のところだけ紹介しがちです。しかしYouTubeって8分以上だと広告枠が1個増えるので、何としても8分以上の動画にしたくて、1人でバイクに乗ってるときはここ使えそうと思ったら電源入れて、とりあえず何か喋ってます。冬になると、バイクに乗る回数は他の季節より格段に減りますね。夏だったら暑くても夜涼しいとか走れる時間帯があるんですけど、路面凍結した道路をバイクなんて絶対走れないですし、とにかく寒いのであんまり乗らないんですけど、今年はチャンネル登録者数1万人を目指しているので、そんなことも言ってられない、ネタを取りに行かなければと。
バイクを通じて広がる、さまざまなつながり
バイクに乗ってる女の子だとレアなので、バイクの話をするだけで結構興味を持ってくれる人が多くて。今の職場でも「バイク乗りの営業さん」で覚えてもらっていたり、仕事柄、接する機会の多いおじさま世代のバイク好きなお客様との話のネタになったりしてるのはすごくうれしいし、自分の武器になってますね。
あとは父が会食先で話のネタにしてくれて父の仕事が上手くいくようになったり、「仕事の関係者でバイク好きな人がいると結構ゆみしの話をしてる。そのうち連絡あるかも」って高校時代の同級生から連絡が来たり。チャンネル登録者数も増えるし、本職と別に仕事を広げるチャンスが巡ってきてるのがすごくありがたいなと。今回の取材のお話も、YouTubeをはじめいろんなSNSで発信してたからこそいただけたことなので、こういうつながりからいろんな経験を積めてるのは結構プラスになってます。
目的もコンテンツの広がりも無限大「バイク×〇〇」
もちろんチャンネル登録者数を増やすという目的もあるんですが、バイク乗りの人をもっと増やしたい、バイクの楽しさをいろんな人に知ってほしいと、バイクと何かを組み合わせたコンテンツをいろいろ考えてます。
バイク旅をするようになって、バイクを停められるホテルとかカフェの情報が少ないことに気づいたんです。宇都宮に行ったときも宇都宮駅周辺でバイクを停められる駐車場ってあんまりなくて。宇都宮で宿泊したホテルも、ホームページには書いてなかったんですよね。仕方なく駅前の方に停めてたんですけど、ホテルの人に聞いたら「自転車停めるところに停めていいですよ」って言ってくれて。でそれを動画に載せたら「ホテルの情報助かります」っていうコメントが来て。
ああこういうところにきっと需要あるんだな、そういうのを自分で発掘して発信できたらいいんじゃないかなと。そういう情報を探してる人たちに向けた情報発信とバイクとを掛け合わせて自分の動画にできたらいいなと思ってます。
実は最近、Bリーグにどハマりして推し活デビューしました。宇都宮ブレックスの選手と友達になったこと、川崎ブレイブサンダースのインスタ広告でチケットが当たったことをきっかけに試合を見に行きました。
素人が試合を観て楽しめるんだろうか、試合してハイ終わりじゃないだろうか、と思ってたら全然違いました。それでいろんなチームのSNSを見るようになったんですが、どのチームもSNSでの発信に力を入れてて、集客にすごく工夫されています。
今では自分のSNSでも活用できそうな手法を探すという観点からもチェックするようになりました。ただ、動画は15秒以内に収めないといけないみたいに、試合中の動画や写真をSNSにアップロードするにはルールがあるんですね。そのせいかどうかは分かりませんが、SNSで発信してるBリーグ女子って少ない気がしてるので、何かいい方法がないか考えてます。試合に合わせてツーリングに行くのもいいですよね。
それから、一人飲みに行くのも誰かが一人飲みしてる動画を観るのも好きで、そことバイクをどうにかして組み合わせられないかとも考えてます。泊まるついでに一人飲みとか、旅の途中で見つけたみたいにするとか、工夫が必要だとは思いますが。
生きるための原動力
バイク旅って何だろう……。改めて聞かれるとちょっと考えてしまうけど、やっぱり生きがいになってるし、いろんなことを経験できる、いろんな人と出会えて繋がれるっていうのを実感してます。
スポーツ観戦だと隣に座ってる人とハイタッチとかあるらしいですけど、バイクでも女性が乗ってるっていうだけで話しかけてもらえたり、知らないライダーさんが並走してくれたりっていうのがあって。自分の生きる原動力になってますね。バイクに出会わなかったら、土日とかゴールデンウィークとか、本当に何してたんだろう、それこそずっとゴロゴロしてたんじゃないだろうかと。自分の人生を色づかせてくれるもの、もう相棒みたいな存在です。そもそもバイク活動してるというよりも、自分の好きなものどうし、バイクと動画撮影、編集を組み合わせて趣味にした感じだから楽しめてるのもあるし、いつかYouTubeとかメディア発信っていうところでお仕事できたらいいなと思ってます。そこまで自分の趣味を突き詰めるのとYouTubeを発展させるのが今の目標です。