面接はどの企業も採用試験では必ず実施するので、転職活動における最大の難関と言ってもいいでしょう。履歴書をしっかり作り込んだのに、「それに書いてあることを話せばいい」と練習をせずに面接を受けると、思うように実力を発揮できないこともあるかもしれません。
そこでChatGPTを面接のシミュレーションに活用して、何度もイメージトレーニングをするという方法で、面接練習をすることができます。
本記事では、面接練習の意義やChatGPTで行う面接練習の方法について解説します。
面接練習をなぜ行うのか
面接では履歴書や職務経歴書、転職サイトからのエントリーであればそちらに記載した情報から質問されるため、「自分で作った書類だし、経験してきたことだから」と、特に対策をせずに面接に臨みがちです。しかし、いざそのときになると言うべきことを伝えそびれてしまったり、考えがまとまらず何か言わなければと焦って見当違いのことを言ってしまったりと、思わぬ失敗をすることがあります。
そもそも面接は、書類だけでは分かりづらい応募者の人となりを、実際に会って話して理解することを目的としています。面接の流れも質問もある程度予測できるけれど、やはり事前に自分の経歴を深く掘り下げる作業を行っておき、それを面接で上手にかつ落ち着いて面接官に伝える練習をしておくことが大切です。面接練習を何度も行い、頭の中にある言葉を入力してみることで、改めてどんなところに強みと弱みがあるのか、自分自身を見つめ直す作業にもなるのです。
とはいえ、実際に面接練習をしようとすると、練習に付き合ってくれる人を見つけなくてはならないし、鏡を見ながら一人で練習するのは恥ずかしくて、気が引けるかもしれません。
一人で面接練習をするときに感じる不安や気恥ずかしさを、模擬面接官となって和らげてくれるのがChatGPTです。
ChatGPTとは?
ChatGPT(チャットGPT)とは、自然言語処理技術を用いて人間と会話したり、文章を書いたりできる対話型AIの一種です。対話型AI(Conversational AI)とは、インターネット上で学習した多様な知識をもとに、音声入力やテキストを通してまるで人間同士の自然な会話のようにやり取りできる技術です。
面接練習ではユーザーからの質問に応答したり逆に質問したりといったことはもちろん、自己分析の結果の分析、職務経歴の要約や自己PR・志望動機の文章の生成などの作業に活用できます。
参考記事:話題のChatGPTで主婦の悩みは解決できるのか試してみた!
面接練習に役立つプロンプト集
ChatGPTを面接練習に用いる際に必要なのは、プロンプトと呼ばれるものです。ChatGPTにおけるプロンプトとは、簡単に言うと人間がAI(人工知能)に投げかける、「あなた(=ChatGPT)は〇〇してください」という指示文です。
人間がChatGPTにしてほしいことを指示すると、ChatGPTはその通りに動きます。そのため、時折こちらの意図が伝わらず違う反応や回答が返ってくることがあります。そんなときは指示し直すか、新たな指示文を与えてChatGPTを動かしましょう。入力した文がChatGPTに表示されると、右上にテキスト編集マークが出現するので、そこから編集すると、新たな回答が返ってきます。
ここからは、面接練習に使えるChatGPTのプロンプト集をご紹介します。なお、今回使用するのはChatGPTの無料版(GPT3.5)です。
まずChatGPTに、前提条件(会話のルール)を伝えます。
『#会話のルール
あなたは、事務職のパートを採用しようとしている企業の面接官です。応募してきた私にさまざまな質問をしてください
・質問内容は次の14項目を聞いてください。
・私からの回答を読んでもっと詳しく聞きたい場合、さらに深掘りする質問を投げてください。
・質問は1回につき1つまでです。
自己紹介に関するプロンプト
1.自己紹介をしてください。
2.過去の職務経験について教えてください。
志望動機に関するプロンプト
3.当社に応募した理由を教えてください。
4.なぜこの職種・ポジションに興味を持ったのですか?
職務経歴とスキルに関するプロンプト
5.あなたが最も得意とするスキルや専門知識は何ですか?それは弊社の業務において、どの部分に活かせるとお考えですか?理由も教えてください。
6.過去の職務経験での最も大きな成果または成功体験は何ですか?
応募先企業と自分自身のマッチングポイントに関するプロンプト
7.弊社のビジョンやミッション、価値観をご存知ですか?また、弊社のどのようなポイントがご自身と合っているとお考えですか?
8.弊社の製品・サービスの長所と短所を教えてください。
9.弊社はどのような企業だとお考えですか?印象を教えてください。
関係の構築と維持(コミュニケーション)に関するプロンプト
10.チームや上司との良好な関係を築くためにどのような努力をしていますか?また、チーム内で意見の相違が生じた場合、どのように対処してきましたか?
11.チームメンバーやお客様との関係で、難しい問題に直面したことはありますか?もしあれば、どんなふうに問題を解決しましたか?
その他よく聞かれる質問
12.他社の選考状況について教えてください。何社ほど受けてますか?
13.内定を出した場合、最短でいつ入社できますか?
14.最後に言い残したことはありますか?弊社に質問したいことはありますか?
最後の質問の後に、それぞれの質問での受け答えに対して改善ポイントをアドバイスしてください。』
1~11で使用する質問項目を、以下にご用意しました。これらのプロンプトは面接でよく聞かれる項目を集めたものです。自由に組み合わせてお使いください。全部埋めたら『』内のテキストをコピーし、チャット入力欄に貼り付けましょう。
自己紹介をするためのプロンプト
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志望動機・キャリアチェンジの理由を問うためのプロンプト
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職務経歴とスキルを問うためのプロンプト
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応募先企業と自分自身のマッチングポイントに関するプロンプト
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関係の構築と維持(コミュニケーション)に関するプロンプト
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ChatGPTを用いた面接練習の事例
ここでは、上記でご紹介したプロンプトを使ってChatGPTと面接練習した例をご紹介します。実際に練習するときの参考にしてみてください。
※見やすいように若干の編集を加えているため、実際のChatGPTの画面とは少し異なります。また、サンプルなので適当に返答していますが、練習するときはキチンと文章を考えてからテキストまたは音声入力されることをおすすめします。個人情報の入力には十分ご注意ください。
まとめ
ChatGPTは、面接のシチュエーションに活用できるだけでなく、実際に聞かれることが多い志望動機や自己PRの文章を作成、自分で作成したり回答したりした文章のフィードバックなどが可能です。また、ChatGPTを模擬面接官に見立てて面接の練習をすると、質問に対する回答の練習やペース配分を考えながら自己アピールができる、アピールポイントやウィークポイントが明確になり、面接に対する不安が軽減されて自信がつくなどのメリットがあります。
転職活動を成功させるためにも「面接の練習は面倒」などと考えず、ChatGPTを活用した面接練習を積極的に取り入れ、面接当日に備えましょう。より面接練習を深めたいときは、ChatGPTの有料版(GPT4.0)や転職サイトで提供されているキャリアコンサルサービスを利用するとよいでしょう。