やらなければならないこと、やりたいこと。一人の人間であること、親であること、仕事のチームのメンバーであること。きっとそれぞれの人が、いろいろなことや、それぞれでの”顔”を抱えて日々を過ごしていることと思います。
7歳の男の子の母であり、イラストレーターであり、オタクでもあるユキミさんは、それぞれがあるからこそバランスが取れて楽しめていると語ります。今回は、そんなユキミさんのお仕事や育児、推し活、そしてその3つのバランスについてお話を伺いました。
話を聞いた人
ユキミさん
大阪とスラムダンクをこよなく愛する 漫画家・イラストレーター/ライブドア公式ブロガー
▶︎息子ユキタこと きったんとの毎日
▶︎週刊女性セブンにて4コマ連載中
ライブドアブログ『ユキミの「ちょっと聞いとくれよ」』:https://yukimi-kittan.blog.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/yukita_1110/
X(旧Twitter):https://twitter.com/yukita_1110
”楽しそう”がいつしか仕事に
今は絵を描くお仕事をしていて、ライブドアブログで日常ブログを書いたり、週刊『女性セブン』のお便りページで4コマ漫画を描いたりしています。ほかにも、育児向けwebサイトでの漫画と原稿の連載や、単発で書籍の仕事や雑誌の挿絵の仕事をしたりもしています。
ブログ『ユキミの「ちょっと聞いとくれよ」』
ずっとこういった仕事をしてきたわけではなく、新卒ではメーカーに営業として就職後、部署を移動してシステム管理へ、その後夫の転勤をきっかけに退職しました。
ひょんなことから絵を描くことが仕事になったのですが、息子を産んだ約8年前、Instagramでよこみねさやかさんなどの育児漫画を目にしたんです。当時、Instagramは写真を投稿している人が多かったので珍しさもあり、楽しそうだと思って私も始めてみました。でも、どこにもパイプがない状態だったので、まさか絵が仕事になるとは思ってもおらず、初めて絵でお金をもらったのは息子が1歳になる前くらい、webサイトで寄稿して原稿料をいただいた時でした。
最初は扶養の範囲でしたが、webサイトを見てくださった方が連絡をくれたり、Instagramを見てくれた人が企業アンケートなどに書いてくれたりと、そうした小さなことが繋がっていって、だんだん仕事として本格的にするようになったのが始まりです。
もともとは、好きなことを仕事にするものではないと思っていました。でも、やっぱり絵を描くことはずっと好きだし、それが仕事にならなかったとしても、多分ずっと続けていることでもあると思うので、無理のないようにやることを大切に仕事をしています。それに、実際にやってみると「絵を描く」といっても色々な種類があることが分かったので、今は無理がないやり方を選択することができています。
いつまでも色褪せない『SLAM DUNK』
『SLAM DUNK(スラムダンク)』が大好きで、ずっと追いかけています。私が小学生くらいの頃にアニメがやっていて、それを見始めてからずっと大好きなんです。時代としては90年代頃でだいぶ前のものなのですが、古くならず、何回読んでも飽きない作品だと思います。それにキャラクターも魅力的なので、誰が見ても絶対好きなキャラクターが見つけられる作品だとも思っています。
グッズは部屋の壁が埋まるぐらい集めているのですが、やっぱりだいぶ前に終わっているので本当に少なくて…。新しいグッズはほとんど出ないし、なにより、私の好きな福田吉兆君のグッズが全然ないんです。なので、オークションなど、いろんなところから探し出して集めています。
自分の好きなものに正直に生きる
今はこうして推し活を楽しんでいますが、昔は全然していませんでした。むしろ、自分の好きな漫画などについてはあまり表に出すものじゃないと思って隠していました。オタクが虐げられていた時代を過ごしたので、「絶対バレちゃいけない」みたいに思っていたんです。
でも、育児で体調を崩してしまったのをきっかけに、残りの人生、自分の好きなものに正直に生きたいと思うようになりました。それからはだいぶオープンにしていて、ようやくグッズを買う楽しみや推し活を満喫できています。それに、オープンにしたことで一緒に推し活を楽しむ友達もできました。最近では可愛いアフタヌーンティーに行ったり、カラオケルームの一室を貸切って騒いだりと、すごく楽しんでいます。
昨年末には新作のアニメ映画が公開されて、公開日の朝一で見に行きました。上映開始してからの半年はイベントや応援上映があったり、友達と集まって語ったりしていたので、だいぶ慌ただしい半年でしたね。
また、その映画のタイミングで大阪のあべのハルカスでイベントがあり、運よく当選して息子と一緒に参加する機会もありました。親子バスケの回で、お笑い芸人の麒麟の田村さんと大阪籠球会というバスケのパフォーマンスチームに、バスケについて教えてもらいました。息子は、私の部屋のポスターを見て「この人かっこいい」などと話していましたが、今はポケモンとかにハマっています。でもちょっと興味は持ってくれたので、もしかしたら好きになるものの選択肢に入るかなと思っているところです。
バスケイベントの際に息子さんが撮ってくれた写真
3足のわらじの切り替え
育児に仕事に推し活、比率にするのは難しいですが、それぞれ3対3対3で残りの1に余力を残しておく、みたいなイメージで普段過ごしています。推し活は実際に何かするわけではないのですが、ご飯を作っている間に考えているとか、1日の中でそのことを考えて現実逃避してる時間はたぶん圧倒的に長いです。(笑)
仕事は環境を変えることで切り替えています。やっぱりリビングは誰もいなかったとしても食事などの日常生活の延長にある場所なので、そこでスイッチを入れるのはなかなか難しくて。なので、自宅にある一室を仕事部屋にして切り替えています。
でも、育児と仕事の両立が難しいと感じるときもあります。時間拘束ではなく出来高でお給料をもらう分、ちゃんと形として出さないといけないので、集中してやりたい時期が冬休みに重なってしまったり、息子が体調を崩して看病しなければならなかったりするとやっぱり大変です。
子供の具合が悪くて会社に行けなかったら、そもそも仕事ができないのでお休みになると思うんですが、息子の具合が悪いんですと言ったところで家にいるので…。結局締め切りが短くなっただけになってしまって、何かあったときの仕事の調整はなかなか大変ですね。
好きなことをそれぞれ楽しむ
逆に、3つあって良かったと思うのは、どれかがうまくいかなかったとしても2つ残っているので、何をするにしてもやっぱりちょっと気持ちが楽なところです。
ただ、3つが混ざることはほとんどなく、分けています。私にとって推し活は育児とはまた別のものなので、切り離したいとも思っていて。息子自身にも好きなものがあって、それを一緒に好きになることは全然構わないんですが、それとはまた別だと思っています。
でも、そうして3つそれぞれが独立しているからこそ、うまくバランスが取れているんだと思います。「同時に別々のことを考えなきゃいけないのは嫌だな」とか、それがあんまり得意じゃないという人もいると思いますし、私も最初そのタイプだと思っていたのですが、実際やってみるとそんなこともありませんでした。
それぞれ分けた方が気持ちが切り替わる分、例えば育児でちょっと嫌なことがあったとしても、仕事に没頭していたら嫌なことを少し忘れられたり。逆に仕事でうまくいかない時に、推しの方に気持ちを持っていけば、ちょっと元気になって帰って来られたり。それぞれがあるおかげでうまくバランスが取れています。
私のように分けていたり、どれかをミックスしていたり、やり方は人それぞれだと思いますが、好きなことややりたいことがあれば全部やっていいと思います。本当に遠慮する必要はないです。暮らしや仕事や育児、それぞれを楽しくやるためにも、「全部やってみる」で全然いいと思っています。