仕事を通じてこんなことをしたい、あんな暮らしがしたい、成長したい、安定した生活を送りたい…。それぞれがさまざまな思いを持って仕事を選んでいることと思います。Yukiさんも、自分の思いを実現するべく人生の選択をした一人です。日本での仕事を辞めて海外移住をすることを選んだ背景や、移住への思い、現地での暮らしなどについてお話を伺いました。
話を聞いた人
Yukiさん
20ヶ国を旅した海外好き。現在はマレーシアに移住し、「海外移住したい」「海外旅行したい」を応援するため、移住に関する情報や海外生活で使える簡単な英会話などを発信している。
Instagram:https://www.instagram.com/lsm_yuki/
行ったことのない国への移住
2023年の5月にマレーシアに移住して、もうすぐ1年になります。もともと20カ国を旅したり、留学でアメリカやニュージーランドに長期で滞在したりした経験があるのですが、マレーシアはそれまで一度も行ったことのない国でした。
結局、移住前に足を運ぶことはなかったのですが、それでも住む場所として選んだのは、まだ住んだことのない東南アジアに興味があったのと、日本人が住みやすそうな場所だったからです。また、そもそも海外に住もうと考えた理由が、一人でも多くの人に海外に興味を持ってもらいたい、海外へ踏み出すことの後押しをしたいという思いがあったからでした。
マレーシアは日本から6時間と比較的近く、親しみを持ちやすく来やすい場所なのではないかと考え、「一回やってみるか!」と、挑戦してみることにしました。
実際に住んでみて、マレーシアはすごく住みやすい場所だと感じています。理由はたくさんありますが、一番はやっぱり気候が暖かくて過ごしやすいのと、人がすごく優しいことです。
インド系や中華系、マレー系などいろいろな文化が混ざっているので、移住に関してもかなり寛容でウェルカムな雰囲気がありますね。それに日本食レストランも多くあり、日本語が通じる場所や、通訳のいるお店もたくさんあって、海外に行ったことがないような方でも踏み出しやすい場所です。
改めて感じた海外への思いの強さから移住を決意
移住を決意したきっかけは仕事にあります。日本に住んでいた時はメーカーの営業をしていて、海外駐在を目標としていました。でも、コロナでそれがどんどん先延ばしになってしまって…。それに、多分私は日本で働くことが合っていなかった部分もあったと思っているんです。
というのも、営業職だったこともあって仕事終わりに飲み会や接待の機会が結構多かったのですが、断りたくてもなかなか断れるような雰囲気ではなく、私の中では結構しんどかったんですね。自分のやりたいことがあるのに断れなかったり、自分の意見が言いづらかったりするのがすごく窮屈でした。
それに、会社での人間関係も大変で、本来は海外駐在に向けて頑張るべきところをそっちに注力してしまっていました。
そんな中で改めて自分の気持ちを見つめ直してみた時、成長する意味では今のまま頑張ることも大切だけど、私はやっぱり海外との架け橋になりたい、英語を使って仕事をしたいと思ったんです。
それなら、この会社でなくても海外で就職することもできるし、実際に海外から発信することで自分と同じような気持ちを持つ人を応援することもできるのではないかと考え、会社を辞めて移住することを決意しました。
自身の経験がほかの人も応援したいという思いに
「海外へ踏み出すことを応援したい」と思うようになったのは、私自身の経験が大きく関係しています。私はもともと気にしやすい性格で、人からちょっと言われたことでも気にしてしまうようなことが多かったんです。
でも、海外に出ていろいろな人や文化に触れる中で、「こういう捉え方もあったんだ」「私が敏感に反応しちゃっていたんだな」「こういうときははっきりNOと言ってもいいんだ」などの気づきがたくさんありました。それで考え方や捉え方がすごく変わって、さらにそれが生きやすさにつながったんですよね。
その経験から、日々の生活で生きづらさなどを感じている方が、海外旅行でいろいろな景色を見たり、いろいろな人と関わったりして「こういう捉え方もできるんだ」「そんなに考えすぎなくてもいいんだ」といった気づきを得て、日本に帰った時にちょっとでも自分の中で生きやすくなったと感じてくれたら、と思うようになりました。
人事のサポートであっという間の移住
今はマレーシアの現地採用で旅行系のカスタマーサポートの仕事をしていて、日本の方が海外へ行く際の旅行プランを考えたり、航空券やホテルの手配などの事務系の手続きをしたりしています。私自身旅行が好き、ということもありこの仕事を選びました。また、それとは別に副業のような形で、マレーシアのサバ州の政府観光局とも一緒にお仕事をしています。
本職の方はシフト制で週2日休み、出社は一番早い時間で朝8時、遅いと14時で、そこから9時間拘束で仕事をしています。使う言語はだいたい英語が8割、日本語が2割くらいなイメージですね。お客さんより、施設やホテルなどとコンタクトを取ることが多いので、英語を使うことの方が多いです。
マレーシアは現地採用で働く日本人が多いこともあり、移住の際にはかなり手厚くサポートをしてくれました。人事の方がビザの手配や、最初の家が決まるまでのホテルの手配、必要な書類の指示などをしてくれました。家探しも、人事の方が不動産屋さんを紹介してくれて、2週間くらいで決まりましたね。
なので、移住の準備も手続きもトントン拍子に進んで、現地採用の面接を受けて移住するまで2ヶ月ぐらいとあっという間でした。引っ越しの準備なども1ヶ月ぐらいで全部済ませて、バタバタではありましたが、人事の方のおかげでそこまで大変な思いをすることはなかったです。
「頑張りすぎなくていい」働き方
働き方という点でマレーシアと日本が一番違うところは、頑張りすぎなくていいことだと思っています。日本にいた時は、自分では分からないぐらいに長時間仕事をしていたり、休みでも仕事のことを考えて結局休めていなかったりと、仕事とプライベートのオンオフが全然できていませんでした。
でも、マレーシアではみんな仕事の時は仕事、休む時は休むとはっきり区別しているんですよね。残業もないですし、終わってなくても明日で良い、終業時間だから帰る、みたいな感じなんです。もちろん、全力で仕事をすることもすごく大切だとは思うのですが、私としてはこの方がけじめがつけられて、仕事がしやすい環境に感じています。
それに、マレーシアではみんな自分の「No」をはっきり言うんですよね。そういう意味ですごく自由で、人間関係もさっぱりしていて良いなと思っています。
東南アジアという環境を満喫する休日
マレーシアでの過ごし方としては、土日は大好きな旅行をして過ごしています。シフト制なので休みはバラバラなんですが、2日連続で休みの場合はタイやベトナムなどの隣国へ行ったり、マレーシア内の行ったことのない都市に行ってみたり、海のアクティビティをしに行ったり…。だいたいどこかに出かけていますね。
普段の仕事では日本人の方と関わることが多いのですが、せっかく海外に来たのでインターネーションズなどのコミュニティに登録して、週末にはそのイベントに参加することもあります。それで現地の方や、同じように移住をしてきたいろいろな国の人と仲良くなって、一緒に遊びに行くこともありますね。
たった一歩が変化につながる
海外に移住して一番良かったことは、何よりもやっぱり「生きやすくなった」ことですね。海外に出ると、「普通だったらこう思うだろうな」みたいなことが全くそうではなかったり、日本では予期しなかったことが起きたりするんですよ。
それを実際に肌で感じて経験してみると、「制限をかけていたのは自分自身なんだ」と気づいて、自分の中でその制限が外れやすくなっていくんです。本当にいろいろな捉え方が180°変わりましたね。
マレーシアは、英語ができなくても日本語のみでできる仕事もありますし、日本人が好きな人がたくさんいたり、日本語の通じる場所があったり、すごく踏み出しやすい場所だと思います。
「海外に行きたい」とか「海外に住みたい」という思いがあるけど不安という方もいらっしゃると思います。私も来る前まではそうでした。でも、たった一歩でも踏み出すことで得られるものはすごく大きいと思います。踏み出すのには勇気がいるし時間もかかりますが、その先で実際に叶えている人たちがいます。少しでも思いがある人は、是非海外へ踏み出してみてほしいです。