使いこなせると便利なExcel。皆さんは上手く活用できていますか?エクセルの活用において欠かせないものの一つが「VLOOKUP(ブイルックアップ)関数」。大量のデータから欲しいデータを取り出す際に大活躍する関数です。ただ、使い方にはコツがあります。今回は、初めて使う人でも分かって、コツを抑えて活用できるよう、使い方を紹介します。

VLOOKUP関数とは

VLOOKUP関数とは、指定した列を上から順番(縦方向)に検索し、それに対応する値を取り出す関数です。ちなみに、「V」は垂直を意味する「Vertical」の頭文字であることを知っておくと思い出しやすいです。

VLOOKUP関数の特徴は、検索したい値がある行とは違う列のデータを検索結果として表示できるところ。

どういうことかというと、一般的な検索機能では、例えば「りんご」と検索すればその文字列が書かれている場所がどこにあるか分かります。一方で、VLOOKUP関数を使うと、「りんご」という検索条件で、その値段や個数といった他のデータを取り出してくることができるのです。自分の欲しい情報を適切に取り出すため、欠かせない関数です。

実践!VLOOKUP関数基本の使い方

基本の構文は以下の通りです。

「=VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, 検索の型)」
検索値:検索したい値(セルまたは文字列)
範囲:検索の対象となる範囲
列番号:検索対象の範囲の中で、取り出したいデータが含まれるのは左から何列目か
検索方法:FALSE(完全一致)またはTRUE(近似一致)

「検索方法」の違いは、FALSE(完全一致)では検索値と完全に一致するものを探し、TRUE(近似一致)では、検索値に一番近いものを抽出します。特に指定がない場合は「FALSE」を指定しておくと良いでしょう。また、検索方法は省略が可能ですが、その場合は「TRUE」として扱われるので注意してください。

それでは、具体的な使い方を見てみましょう。

例えば、次のような「2024年有給取得記録」と「社員一覧」のデータがあるとします。

画像1: 実践!VLOOKUP関数基本の使い方

社員はIDで管理されており、有給取得記録には社員の名前の記載がありません。そのため、氏名を知るには、社員IDと氏名を照らし合わせる必要があります。

ここで活躍するのが、VLOOKUP関数です。社員IDをもとに、氏名を検索することができます。社員一覧の表から社員IDを検索して、氏名を取り出す構文を考えてみましょう。

①まず、「2024年有給取得記録」に氏名を表示する列を作り、その一番上のセルに「=VLOOKUP(」と入力します。入力途中で候補が出る場合、それをダブルクリックするとセル内に数式が自動で入力されます。

画像2: 実践!VLOOKUP関数基本の使い方

②次に、検索したい値(検索値)を指定します。ここでは社員一覧から社員IDを検索して、それに対応する氏名を取り出したいので、社員IDが検索値となります。①で数式を入力したのと同じ行にある社員IDのセルを指定しましょう。この時、コンマ(,)を忘れずに入力してください。

画像3: 実践!VLOOKUP関数基本の使い方

③次に、検索の対象となる範囲を指定します。この時、検索値だけでなく、それで取り出すデータがある列も範囲に含まれることに注意してください。

ここでは、検索値が含まれる「社員ID」の列と、それで取り出すデータが含まれる「名前」の列が範囲となります。そのため、「社員ID」の一番上から、「名前」の一番下までを範囲に指定しましょう。ここでも忘れずにコンマを入力してください。

画像4: 実践!VLOOKUP関数基本の使い方

④次に、列番号を指定します。取り出したいデータが左から何列目にあるかを指定しましょう。この時、取り出したい「名前」の列は左から2列目なので、「2」を指定します。ここでも忘れずにコンマを入力しましょう。

画像5: 実践!VLOOKUP関数基本の使い方

⑤次に、検索方法を指定します。検索値と完全に一致するものを探したいので、「FALSE」を指定します。そして、かっこを閉じてエンターキーを押せば、検索が実行されます。

画像6: 実践!VLOOKUP関数基本の使い方

⑥2行目以降も同じように検索を行ないます。数式を下まで反映させれば簡単なのですが、一点だけ注意しなければならないことがあります。それは、検索範囲を「絶対参照」にすることです。絶対参照にしないままだと、セルが変わるごとに検索範囲も変わってしまいます。

絶対参照にするには、範囲の開始と終了のセルそれぞれの、アルファベットと数字の前にドル($)マークを入れます。F4キーでショートカットが可能です。

画像7: 実践!VLOOKUP関数基本の使い方

これができたら、枠が緑のセルの右下をドラッグして数式を一気に反映させれば、検索結果が表示されます。

画像8: 実践!VLOOKUP関数基本の使い方

応用編

■別シートの値の参照

VLOOKUP関数を入力したセルがあるシートと、検索したい表があるシートが別の場合でも検索が可能です。

やり方は簡単で、「=VLOOKUP(」まで入力した後、別シートを表示し、検索値や検索範囲などを選択するだけです。

画像1: 応用編

指定した別のシート名が「‘○○’!」と表示されていれば、正しく反映されています。

■エラーの場合に任意の文字列や空欄を表示する

検索範囲に検索値がなかったり、空欄だったりするとエラーになる場合があります。

画像2: 応用編

こうした場合に、「検索値なし」と表示したり、結果を表示せずに空欄にしたりすることができます。

そこで使うのがIFERROR関数で、「=IFERROR(VLOOKUP関数),"エラー時に表示する文字列")」という構文です。一見難しそうですが、意外と簡単に書くことができます。

①先にVLOOKUPの数式を入力し、完成させます

②①のイコール以外をかっこでくくり、前に「IFERROR」を入力します

③後ろには、コンマと、表示したい任意の文字列を入力し、かっこを閉じます

任意の文字列はダブルクォーテーション(“”)でくくりましょう。また、ダブルクォーテーションのみの入力にすればエラーの場合に空欄を表示することができます。

画像3: 応用編

VLOOKUP関数活用のポイント

■範囲は絶対参照にする

先述の通り、範囲は絶対参照にしないと、欲しい結果が得られなくなってしまいます。ドルマークをつけて、必ず絶対参照にしましょう。

■検索は、指定した範囲の「左端列」で行われる

返ってくる結果は列番号で指定できる一方で、検索する列は指定できません。つまり、指定した範囲の一番左の列で検索されるのです。2列目から検索などはできないので、範囲の指定には注意しましょう。

■「#N/Aエラー」の場合にチェックすること

「#N/Aエラー」は「No Assign」(ノーアサイン)のことで、検索値がない場合に表示されます。VLOOKUP関数を使っていると、必ずと言っていいほどぶつかるエラーです。これが表示された場合は、次の点を確認してみましょう。

・検索したい列が範囲に含まれているか

・検索値が範囲の一番左の列にあるか

・検索値で指定した文字列の全角、半角が合っているか

・小文字の「~」が入っていないか

・範囲のセル参照が絶対参照になっているか

■検索方法(TRUE、FALSE)を使い分ける

TRUEとFALSEが違うだけで、返ってくる値が変わります。エラーではないのに、正しくない答えが表示されるような場合は、検索方法が適切かどうか確認してみましょう。

さいごに

VLOOKUP関数は一見ややこしいかもしれませんが、ポイントを押さえるだけで非常に便利に使える関数です。使いこなすためには、こういったガイドを見ながら実際に使ってみて、自分でエラーを解決しながら日々使っていくことが一番の近道です。ぜひ積極的に使ってみてくださいね。

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