転職活動では、電話やメール、転職サイトのエントリーフォームなどから企業にコンタクトを取り、履歴書と職務経歴書を企業に提出し面接試験に臨むという流れを辿るのが一般的です。その際、必ずと言っていいほど欠かせないのが「自己分析」ですが、自己分析の方法が分からない人も多いでしょう。
本記事では、「強み・弱みを面接で聞かれて返答に困った」なんてことがないよう、巷で話題になっているChatGPTを用いて、自己分析を行う方法を解説します。
なぜ自己分析をするのか?
自己分析は、これまでに積み重ねてきたキャリアや経験、スキルをたどる中で得意不得意、大切にしているポリシー、興味のある分野などを見つめ直し、自分自身を深く掘り下げていく作業です。転職活動や半年~1年ごとに実施する人事評価面談でも行いますが、企業や上司など自分を評価する相手に提出する書類作成、転職サイトでのエントリーフォーム入力、面接といった場面で役に立ちます。
「自分のことはよく分かってる。アピールなんて簡単」と思っていても、上手く伝えられなかったりどういう風に書けばいいか分からなかったりして、意外と難しいものです。自己分析によって自分を客観視し、言語化することで、上手に企業にアピールできるだけでなく、仕事選びの基準ができます。
とはいえ、自分で自己分析をしようとしても面倒さを感じて投げ出してしまったり、企業が求める人物像に無理やり合わせてみたりして上手くいかないこともあるでしょう。
そこで、壁打ちの相手としてChatGPTを使えば、費用も手間もあまりかからず簡単に自己分析が可能です。
ChatGPTとは?
ChatGPT(チャットGPT)とは、アメリカにあるベンチャー企業OpenAI社が開発した、対話型AI(Conversational AI、人間とコンピューターが質問と回答のやり取りをしていく技術)ツールです。質問への回答だけでなく、質問を始める前に面接官やカウンセラーといった役割を指定すると、それっぽく振る舞いながら逆にChatGPT側からユーザーに質問を投げかけることもできます。
独自にアカウントを作成するか、GoogleやMicrosoftのアカウントからログインすることでChatGPTを利用可能です。基本的には無料で、誰でも利用できますが、無料版の機能に加えて一部の高度な機能が利用できる有料プランも存在します。なお、iPhoneまたはiPadを持っていればChatGPTのアプリも使えます。
会話はもちろん調べ物や情報収集、翻訳、文章の添削やリライト、要約など、ChatGPTでできることはたくさんあります。そんなChatGPTを使うメリットは次の通りです。
- 24時間365日、いつでも無料で使える
- 自分が考えた文章を添削してくれる
- 自分自身の職歴や経験などの情報から、アドバイスをもらえる
- 書類作成にかけていた時間を短縮できる
自己分析にChatGPTを用いることで、より魅力的な自己PRが作成できるうえ、転職活動の効率も上がります。
参考記事:話題のChatGPTで主婦の悩みは解決できるのか試してみた!
https://www.hataraku-recipe.jp/_ct/17613887
自己分析に役立つプロンプト集
ChatGPTを自己分析に用いるときは、あらかじめプロンプトを作り込んでおくのがオススメです。ChatGPTにおけるプロンプトとは、「こうしなさい」「これについて答えなさい」など、人間がChatGPTにしてほしいことを記した文章を指します。ChatGPTは与えられた情報に対して忠実に動くため、必要な情報をプロンプトに盛り込んでいればChatGPTから狙った通りの回答が得られやすいし、逆に曖昧なプロンプトであれば、思うような回答が得られない可能性があります。
また、1度の指示で完璧な回答が返ってくるわけではないので、ときには人間からではなくChatGPTから人間に質問してもらいながら、何度もChatGPTとやり取りを重ねていきましょう。同じチャットルームでチャットを続けていくうちに、ChatGPTがその内容を学習していき、より確度の高い返答をするようになります。
ここからは、自己分析に使えるChatGPTのプロンプトをご紹介します。なお、今回使用するのはChatGPTの無料版(GPT3.5)です。
まずChatGPTに、前提条件を伝えてみます。
『#会話ルール
・あなたはキャリアコンサルタントです。転職活動に必要な自己分析を行う手助けをしてほしいです。キャリアコンサルタントの立場で、私のキャリアについてアドバイスをお願いします。
・質問内容は次の5つの項目を聞いてください。各質問には別途プロンプトを用意します。
- 自己紹介を作成するためのプロンプト:
「〇〇」 - 自分の強みと弱みを理解するためのプロンプト:
「〇〇」 - 過去の経験から学びを得るためのプロンプト:
「〇〇」 - 価値観や信念を明確にするためのプロンプト:
「〇〇」 - 未来のキャリアの方向性を見つけるためのプロンプト:
「〇〇」
・回答が返ってきたら次の質問を投げてください。
・質問のたびに進捗状況を0~100%で教えてください。質問の進捗率が "100%" になったら、これまでの内容をまとめて分析結果を教えてください。』
質問項目で使用するプロンプトを、以下にご用意しました。前提条件の各プロンプトの下にある「〇〇」の部分に、答えやすいと思うプロンプトを選んでいき、全部埋めたら『』内のテキストをコピーし、チャット入力欄に貼り付けましょう。
- 自己紹介を作成するためのプロンプト
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2.自分の強みと弱みを理解するためのプロンプト
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3.過去の経験から学びを得るためのプロンプト
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4.価値観や信念を明確にするためのプロンプト
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5.未来のキャリアの方向性を見つけるためのプロンプト
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ChatGPTを用いた自己分析の事例
上記で作成したプロンプトで、実際にやり取りをしてみました。ChatGPTで自己分析を行う際の参考になれば幸いです。
まとめ
ChatGPTは、キチンと活用すれば自己分析において素晴らしいパートナーになります。ChatGPTの設定をコーチやキャリアコンサルタントなどにすること、チャットを始める前に前提条件を作り込むこと、思うような回答が得られなくても諦めずにプロンプトを書き直すなどちょっとしたコツが必要です。プロのキャリアコンサルタントやコーチのような答えを返してくれるわけではないものの、情報要約や会話などの機能を備えたChatGPTの活用により、自分なりに考えをまとめて将来のキャリアビジョンを明確にできるだけでなく、効率的な転職活動が期待できます。
さらに深い自己分析をしたい場合はChatGPTの有料版の利用はもちろん、プロのキャリアコンサルタントやコーチングを頼るのもオススメです。また、ChatGPTを利用して定期的に自己分析を行い、自分のプロフィールのブラッシュアップに努めましょう。