毎回企業への応募の度に作成が必要となるのが「志望動機」です。志望動機は企業へのラブレター。でもラブレターを送るには相手を知る必要があります。それは「企業研究」です。なんとなくサイトや求人情報を見ても「どこを見ていいかよくわからない」ということありますよね。

企業研究でみるポイントと志望動機の書き方、面接での伝え方について、「当てはめるだけのテンプレート」とあわせて紹介していきます。

1.志望動機を作成する時の考え方

画像: 1.志望動機を作成する時の考え方

例えば「御社が素敵です。絶対働きたいです!」と熱く語ったところで、一方通行な話となってしまいます。

企業が求めていることに対してにどう貢献できるのか?「自分のやりたいことやビジョンやキャリアプランと、企業で働いた先の未来の接点を伝える必要があります。

そこでまず必要となるのは「相手(企業)」を知るということ。「企業研究」が重要となってきます。

同じくらい重要な「自己分析」については、こちらの記事もご覧ください。

まず、企業研究のポイントから解説いたします。

(1)魅力を発見する為の企業研究の方法とは?

企業を知るためには、求人情報に加えて、ホームページをくまなくチェックしましょう。
企業のサイトによって情報量は異なりますが、情報量が多いサイトの場合の見るポイントをご紹介します。

まずはこの2つを確認しましょう。

◆顧客は誰(どこ)か?
◆提供している価値は何か?

画像: (1)魅力を発見する為の企業研究の方法とは?

・顧客は誰(どこ)か?
企業の取引というのは大きくBtoBとBtoCに分かれます。

BtoBは企業同士の取引を指します。
BtoCは企業がモノやサービスを一般消費者に提供する取引のことをいいます。

顧客は誰でお金はどこから入ってくるのか?というのを知っておくことは大切です。
そして、BtoB orBtoCということだけではなく、
顧客はどんなニーズを持っているのだろう?
BtoB取引が中心の会社であれば、顧客企業はどんな会社なのだろう?
BtoC取引が中心の会社であれば、年齢・性別・収入ランクなど、
どんなお客様に向けて事業を行っているかを確認しましょう。

・提供している価値は何か?
顧客に対して提供している価値はなんでしょうか?
サービス内容・商品・ライバル社との違いや業界内での位置・企業理念・創業者の思いなどです。

そのほか、企業の沿革や成り立ち、今後のビジョン、社長のブログや社員のコメントなど参考になるものは沢山あります。調べてみましょう。

(2)企業研究が必要なのは志望動機を書くためだけではない

今までお伝えしてきた通り、企業研究は志望動機を書く上では大切な作業です。しかし、さらに大切なことは、あなた自身が企業を知り「その企業に入りたい」「合っている」「一員になりたい」と思えるかどうかです。
また、商品・サービスや顧客、業界シェア率を確認する事で、経営状態や将来性を予測することができます。

入社してから「こんなはずではなかった」と思うことがないよう、求人情報や自分が担当する仕事だけではなく、企業や業界全体の事を知っておきましょう。

(3)企業の魅力を発見し好きになる努力を

実は志望動機が書けない人のほとんどは「志望先の企業に行きたいと思っていない」からです。
つまり、好きでもない人に一生懸命ラブレターを書いているようなものなのです。

企業研究をした上で、全く魅力を感じないのであれば無理に応募する必要はありません。
方向性そのものが間違っているのであれば、自己分析からやり直しましょう。

とはいえ、たまたま求人サイトで見つけたり、転職エージェントから紹介されたりした会社であったりすると、あまりよくわからない会社もあると思います。
特にBtoBの企業は通常私達が接することがないため、理解に時間がかかることもあります。

また、転職への不安からマイナス点にばかり目が行ってしまい、応募をしない理由探しになってしまうこともあります。

100%好きで魅力的だという会社は、いつまでたっても見つからないというのもまた現実です。企業研究をしながら、理解し、好きになる、魅力を発見することで、視野や可能性が広がります。

2.志望動機の書き方、面接での伝え方

(1)意外にやりがち!NGワードとは?

志望動機ってそもそも何を書くのでしょう?

そう、「志望」の「動機」です。一生懸命何度も書いていると、段々と本来の目的からそれてくることがあります。本来の目的から逸れることがないように、よく見るNG4つをご紹介します。

・わざわざ経験不足をアピール
(例)事務職の経験は浅いですが・・・
謙虚な姿勢ではあゆっくが、面接は自己PRをする場です。経験が浅いかどうかは職歴を見ればわかります。何をどうがんばれるか、なぜこの企業がいいと思ったのかについて多く書くようにしましょう。

・転職理由・退職理由になっている
(例)私は〇〇のため〇〇会社を退職し現在転職活動をしています。これは志望動機ではなく退職理由です。

・勉強したい学びたい
(例)〇〇業界に詳しくなりたく・・ 学ばせていただきながら・・・
こちらも謙虚な意味で書いている人もいますが、受け身な印象を与えます。
「企業は学校ではありません。学んでからきてください」というのが企業の本音です。

・惹かれた条件を並べる
(例)「年収が高いから」「自宅から近い」「福利厚生 」「育休産休が取りやすい」など
こちらについては(2)で詳しく解説します。

もちろんこれらは誰でも全てだめというわけではありません。人によってはこれらを入れないと説明がつかないケースの場合もあります。

多くの方にとっては、狭いたった数行の志望動機のスペースにわざわざこれらを入れる必要はありません。中途での転職は即戦力を求められる中で、受け身な印象を与えてしまいます。

面接も同様ですが「質問への答え」になっていないといけません。
何度も言いますよ!志望の動機を聞かれています。なぜこの企業に応募するのか。そう企業へのラブレターです。

(2)惹かれた条件を志望動機にしてはだめなの?

上記で述べた「年収が高いから 自宅から近い 福利厚生 育休産休が取りやすい」というような惹かれた条件を並べるという例。
こういった条件面は自身いとって大切な動機の一つです。ただ、そこを企業に志望動機として伝えるのは「あなたは年収高いから結婚してください」とプロポーズしているようなものです。

企業を選ぶ時には様々な条件が出てきて、合うか否かという判断していると思います。

図のように「条件と価値観」に分けて整理してみましょう。

画像: (2)惹かれた条件を志望動機にしてはだめなの?

そして志望動機を書く時には「価値観」の部分を自分の「Will」として挙げ、企業との共通点を結び付けてPRしていくとよいでしょう。

(3)当てはめるだけ「書き方テンプレート」

毎度応募する会社ごとに書かなくてはいけないのが志望動機の大変な所。そこでテンプレートを作っておくと便利です。

・結論を端的に述べる
・「会社の魅力」と「活かせる経験」や「企業と自分の共通点」をバランスよく
・文章の最後は結論で、未来系で締める

この3点を意識して考えてみましょう。

画像: (3)当てはめるだけ「書き方テンプレート」

「なぜこの業界?」「なぜこの職種?」「なぜ他社ではなくうちの会社?」「どう貢献してくれるの?」企業が思っているこの4点の疑問に対し、納得感ある志望動機にしていきましょう。

(4)面接での伝え方

面接でも志望動機は聞かれます。伝え方は(3)と同様に結論から話す事を心がけましょう。志望動機に限らず予期せぬ質問をされた際も、結論から話す事でまとまりがある話し方となり伝わりやすくなります。

また、個人面接や役員面接では、会話形式で進んでいく事が多くなります。企業や業界研究を行っていないと、志望度が低いという印象になってしまいます。しっかり企業研究を行い、その会社の魅力を知り好きになる事で、面接で熱意を持って伝える事ができます。

「企業・業界を調べる」「わかりやすく伝える」「熱意を持って伝える」を意識しましょう。

面接についてはこちらの記事で詳しく説明していますので合わせてご確認ください。

まとめ

志望動機は書類に書き、面接でも聞かれます。自己PRや退職理由と混同されがちですが、一番企業への志望度ややる気が試される場面です。まさにラブレターやプロポーズです。また、企業研究を行う事で企業の魅力を発見する事ができます。同時に自分が安心して働けるか、やりがいを持って働けるかを確認する場面でもあります。その上で伝わる書き方話し方をして「なぜこの企業でなくてはならないのか」という事と熱意が伝わるように準備しましょう。

この記事を書いてくれた人

画像: キャリアコンサルタントが解説!企業研究と志望動機の書き方・面接での伝え方

丸井 沙紀 さん

ホームページ・ブログ https://marunoko.net/

保有資格:「2級キャリアコンサルティング技能士」「キャリアコンサルタント(国家資格)」「GCS認定プロフェッショナルコーチ」等。

4,000人以上の相談実績を元に、おとなが相談できる場所として転職活動のサポートをする転職の家庭教師。転職エージェントのアドバイザーを経て現在は転職・学生向け就活の大型イベント内で講演や、職業訓練校・短期大学にてキャリアの授業も担当。

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